だれがタコマを墜としか


だれがタコマを墜としか

川口忠樹著

A5判 232ページ
定価:本体 3,000円+税
(昭和50年発行)


吊橋工学の原点を探る
落橋の歴史が繰り返された。853m,世界第3位の径間長を誇ったタコマ・ナロウズ橋は,供用後わずか4か月で死のダイビングを演じてしまった………

アンマン:吊橋がたわまなくてどうするのか。吊橋という構造物は風でたわんであたりまえなんだ。
シュタイソマン:そんなに言うなら,もっともっと吊橋をフレキシブルなものにしてみるがいい.吊橋は揺れやすくなって,しまいには墜ちてしまうから…


推薦のことば
  • 昭和15年の暮れであった。薄きたない新宿裏の2流映画館で私はニュース映画を二度も見ていた。それはタコマ市郊外のタコマ・ナロウズ橋が,風による振動で墜落するところを報じたパラマウント・ニュースであった。そのニュース・フィルムは青木楠男先生のおかげで買入れることができたが,敗戦後マッカーサー司令部から没収されて涙をのんだ…本書のおかげで,すっかり忘れていた昔をふりかえることができたが,そのタコマ・ナロウズ橋についてのいろいろな記録を手ぎわよく取りまとめたのがこの本である。
                                     平井  敦氏(東京大学名誉教授・工博)
  • タコマ・ナロウズ橋は,強風とはいえ秒速19mしかない風で桁がねじれ切れ,落橋してしまった。現代橋梁技術の粋を集めて造られた巨大な構造物が,風によってかくも簡単に落橋するとは夢にも思っていなかっただけに,この事故による橋梁界のショックは極めて大きかった。本書は人物を追って事象の説明がくり広げられ,著者の巧みな表現とあいまって,文学書的な肌あいもかもし出され,最近まれに見る技術読物として,広く一読をすすめてやまない。
                                     村上  永一氏(川田建設株式会社取締役)